犯罪被害に遭った人たちを支援する団体を紹介します。
日本において筆頭は、公益社団法人「全国被害者支援ネットワーク」です。
全国48の加盟団体とともに犯罪被害者と被害者家族・遺族を支援しています。
1.支援活動の内容
主に3つの活動です。
「電話相談」は、被害を受けて傷ついた心を誰にも相談できずに悩んでいる被害者の方々が、胸につかえている思いを安心して吐き出せる重要な場所です。同時に、心身のケアや治療、捜査や裁判手続きへの対応など、被害に伴うさまざまな問題について手助けする「直接的支援」への入口にもなります。
「面接相談」は、被害者の方への「直接的支援」が必要と判断した場合、専門の研修を受けた犯罪被害相談員によって行われます。被害にあわれた方が何を必要としているのかを明確にし、自主性を尊重しながら、これからの支援計画を作成し、「直接的支援」につなげます。
「直接的支援」は多くの場合、面接相談を経て、支援センターの支援員が被害者の方々に直接寄り添って支える活動です。具体的には、警察や裁判所、病院や弁護士事務所などへの付き添い、裁判の代理傍聴、各種手続きの手伝いのほか、加盟団体(支援センター)によってはご自宅訪問や日常生活におけるサポート、弁護士による法律相談や専門家によるカウンセリング、宿泊場所の提供なども行っています。 いずれの支援も無償で、被害者の方々の個人情報や秘密は固く守られているため、安心してご相談ください。
2.全国の加盟団体
47都道府県にそれぞれ設置されている加盟団体(北海道には「公益社団法人北海道家庭生活総合カウンセリングセンター」と「一般社団法人北・ほっかいどう総合カウンセリング支援センター」の2つがある。その他は一つずつで合計48団体)は、下のリンク先にそれぞれのホームページが紹介されています。
3.全国の活動統計
全国被害者支援ネットワークの加盟48団体が行っている相談活動や直接的支援の状況をまとめられています。
2018年度のデータを抜粋しますと、
相談支援の総数は39,891件で、うち犯罪被害に関わる相談が32,783件(82.2%)でした。
また、被害者等からの相談や警察からの情報提供によって行った直接的支援は、8,288件でした。
4.事業報告・会計報告の気になったところ
事業年度は4月ー3月のようで、年度終わりに事業報告と会計報告が出されています。
2019年度(令和元年度)のものが出されていたので、さっと読んで気になった部分を抜粋してみます。
(1)政府の第4次犯罪被害者等基本計画
事業報告を見ると、2021 年度から始まる予定の政府の第4 次犯罪被害者等基本計画(5 か年計画)があり、当ネットワークの第4期3年計画も2021年度に終了することから、政府の第4次計画と連動させるべく、策定を行っているようです。
(2)財政基盤の確立
事業報告を見ると、収益確保のためには主に3つの方法があるようだ。
なお、預保納付金が大幅な減額することから新たな財政基盤確立に向けて活動を行っているようである。
① 賛助会員/賛助企業/寄付金(個人・団体)
・賛助会員/個人 525,000 円(120 名)企業団体1,420,000 円(18 団体)
:合計 1,945,000 円
・寄付金 /個人 4,981,773 円(125 名) 企業団体3,867,883 円(14 団体)
:合計 8,849,656 円
::総合計 10,794,656 円
②寄付型自動販売機設置事業
飲料代金の一部を犯罪被害者支援活動に寄付する自動販売機の設置を推進した。
:4 月~3 月 一般寄付金 1,662,582 円 、指定寄付金 217,646 円
③中古本寄付プロジェクト「ホンデリング・プロジェクト」
2011 年12 月からスタートした中古本のリユースによって寄付を受ける仕組みの「ホンデリング・プロジェクト」が定着し、リピーターによる寄付等により実績が伸びている。
2019 年 12 月には、衆議院会館において、議員事務所より沢山の中古本を提供頂くとともに、犯罪被害者支援の取組みを周知することができた。2017 年から3 回目の実施である。現在、各団体の広報等を行いつつ実績を伸ばしている。(46 センター参加)
: 4~3 月 96,776 冊、2,840 件 6,507,457 円
うち、ネットワークへの寄付額 1,398,973 円
センターへの寄付金総額 5,108,484 円