どうもおひさしぶりです。
この前オンラインの公開シンポジウム「イタリアの実践から日本の少年司法について考える」に参加してきまして、イタリアの矯正行政の状況などを専門家のかたのお話を聞いてとても良い時間を過ごしてきました。
色々と面白い話があったのですが、その中でイタリア憲法の第27条についてちょっと気になったので、
そこをまとめた上でご紹介したいと思います。
1.イタリア憲法とは
正式には、「イタリア共和国憲法(Costituzione della Repubblica Italiana)」といい、
1948年1月1日に施行。
改正の特徴としては、統治制度に関するものが多いことがあるが、男女平等の促進のためのものもある。
2.第27条とは
「①刑事責任は個人に属する。
②被告人は確定判決まで、有罪と見なされない。
③刑罰は、人道主義に反する措置であってはならず、受刑者の再教育を目的とすべきである。
④死刑は、認められない。」
※番号・太字は筆者加筆
この中で、興味を持ったのは③です。
憲法で明確に、「刑罰は再教育を目的」と明示しているんですね。
ちなみ日本国憲法に「刑罰の目的」を明示した規定はなく、その上刑法にも刑罰の目的の記載はないんですね。
なぜ刑罰を科してよいのか、という古くからある議論で、応報刑論と目的刑論(予防効果、教育効果など)の対立がありますが、
イタリアは目的刑論を採る、いうことを明示しているということでしょうか。
シンポジウムの中でも、この③が憲法に明示していることから進んでいる政策もあるようで、
犯罪者への処遇についてはいろいろ議論があるところですが(快適すぎる刑務所など)、将来的に再犯予防の効果が広く知れ渡っていけば、日本でもそういった憲法改正の必要性も含め、議論されていくかもしれないですね。
3.そのほか
この③の「刑罰は再教育が目的」の部分はイタリア憲法ができたころからあるようで、歴史が長いですね。
今回は、イタリアの受刑者に対する詳細な再教育の制度については触れられないですが、
日本よりかなり進んでいる印象でした。
ちなみに、④の死刑に関する条文は、2007年に改正があって現在のようになっているようです。
改正前:死刑は、戦時軍法で定める場合を除いて、認められない
改正後:死刑は、認められない
例外をなくして禁止にしたので、死刑は絶対ダメ、にしたようですね。
まぁ、これはついでの話です。
それではまた!